ポテンシャルと意志を持つ求職者と、高い要望のクライアントとのマッチングの成功をきっかけに、 クライアント側には多彩な立場の人材が幅広く働く環境が整い、求職者側には多様なライフプランの可能性が拡がった。
人材ビジネス業界で働いてきて、心に残っているエピソードは?
求人内容
国内最大手の建設コンサルタント会社A社より以下のような求人を頂いた。
①正社員の募集:河川砂防の技術士有資格者、35~39歳(年齢制限例外事由3号ロ)
②契約社員:河川砂防の経験者、資格不問、将来技術士資格を狙う意志のある人
技術士資格の合格平均年齢は40歳を超えていることから、40歳以下の有資格者の紹介は難しい。
例えいたとしても、各企業で将来の幹部として期待されている場合が多く、転職を希望する人は少ない。
一方、②の契約社員のエンジニア求人は、責任ある立場で働くことでスキルアップを図ろうとする求職者が一般的であることから、契約社員という立場を嫌うことが多く応募する人は少ないことから若干の難しさを感じていた。
人材の発掘
私自身、たまたまA社の内情をよく知っていたことから、
a.契約社員であっても中小コンサルよりは規模の大きな仕事に触れることができ、スキルアップが期待できる職場である。
b.契約社員であっても40歳位までに技術士に合格すれば正社員になれる可能性が高い。
c.技術士に合格すればA社でなくても他の会社で正社員としてよい条件で転職することも可能。
d.社内の技術士試験の教育支援体制が充実しており中小コンサルにいるより受験に有利。
e.この会社の契約社員の給与水準が中小コンサルと比較し同等もしくは高い。
ということを理解していたので、技術士試験に熱心に挑戦中で大手コンサル志望の36歳の求職登録者に上記②の求人を勧めた。
後日、奥さんと相談した上で契約社員であっても応募したいと言う結論を得て正式応募、書類選考から面接そして採用へと、紹介過程では大きな障壁もなく成功裡にあっせんまで至った。
入社後の展開
私の心に深く残ったことは、紹介過程よりもむしろその後の展開であった。
当該人材のスキルの高さは勿論ではあったが、入社後の評価は技術力、業務に対する姿勢だけでなく技術士試験に取り組む姿勢も高く評価されA社の若手の正社員の受験意欲も強く刺激していた。
入社1年目の技術士試験は不合格だったが2年目に見事合格し社内の登用試験、役員面接を経て晴れて正社員となった。
この年齢では正社員でも技術士試験に合格している人は少なく、求職者が考えた大手で責任ある立場で仕事したいとのかねてからの目的が達成される結果となったことから、彼からは感謝の言葉を頂戴した。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
この求職者の役員面接で、当社の存在がA社の幹部の間で評判となり他の部署、地方支社から、派遣社員やプロジェクト限定の契約社員等の求人が結果的に増えることとなり、更に、これをきっかけに多彩な人材がさまざまな立場で幅広く活躍できる環境が整ったとの謝意を伝えられた。
また、求職者には実際に契約社員から正社員に登用された事例を紹介でき、ライフプランの一つとして前向きに考えてもらえる材料となった。
その結果今回の求職者のように技術士を取って正社員を目指す求職者のほか技術士試験対策そのものを目的に応募し、技術士合格後はこの会社に正社員になるか更に他の会社に転職するか考えると言う方等、求職者個人の考える多様なライフプランに添う求人と言うことでこの種の求人に応募する求職者が増えた。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
『
五座 由洋
大学院卒業後大手建設コンサルタントで10年間公共施設の設計に
平成26年独立「株式会社ファイブスターコンサルタント」
技術士による技術士紹介の草分けを自負してます。