コラム
キャリア形成支援プロジェクト インタビューコラム この人に聞く「キャリア」の話
今回は、キャリアアドバイザーとして13,000人以上のキャリア相談の実績をお持ちの藤井佐和子さんに「4つのチカラ」磨きキットを活用したキャリア形成について教えていただきます。
キャリア形成において「4つのチカラ」磨きキットは、どのような場面で活用するものでしょうか。
JHRでは「個人で使う」「キャリアカウンセリングで使う」「派遣先評価に使う」と紹介されていますが、個人が使う場面で言いますと、転職時など、次の仕事を探す時に面接や自己PR書類を提出するといった機会があると思います。その時に「自分は何ができるのか」というテクニカルスキルだけではなく、「自分はどういう人なのか」という『ヒューマンスキル』について、この「4つのチカラ」磨きキットを使って整理すると上手くまとめることができます。
「4つのチカラ」とは、傾聴共感力、情報発信力、役割遂行力、感情管理力ですが、これを客観的に整理しておくことで職場において自分はどのように仕事を進められる人なのか、どう職場に関わる人なのか、という人物像を具体的に伝えることができるようになります。
その他では、自分自身が仕事をするマインドやスタンスが合っているか、自分の振る舞いを確認するために「4つのチカラ」磨きキットを定期的に使っていただくといいと思いますね。なぜなら日々何となく仕事をこなしていると大事なことなのに、ふと忘れてしまうのが「4つのチカラ」のようなヒューマンスキルです。「4つのチカラ」を定期的に見直し磨いてくと、自分自身の仕事に対するスタンスや振る舞いを振り返り、気持ちをリセットしたり、改めたりすることで、周囲からの評価も上がり、仕事へのモチベーションも上がっていきます。派遣社員の方は、契約更新のタイミングや契約が終了する時など節目のとき、また長くお仕事に就かれている方も半年~1年で、自らの振り返りのために活用されるといいと思います。
「4つのチカラ」磨きキットを使うと働く方々のキャリア形成に具体的にどのような効果があるのでしょうか。
派遣社員としてお仕事をされている方の主な年齢層は20代~40代前半ですが、中には年齢に関係なく派遣社員として長年ご活躍されている方がいらして、そういう方にお会いすると大体この「4つのチカラ」ができている方です。英語力やパソコンなどテクニカルスキルを勉強することも大切ですが、それだけですと他にもたくさんできる人はいます。
よほど高度な専門スキルがない限り、私にしかできない仕事というのはない。そのような中で差別化を図るにはテクニカルスキルとあわせて「4つのチカラ」を高めていくことが必要になってきます。
派遣社員として活躍されている方にお話しを聞くと、今の自分にどのような振る舞いが求められているのかを客観的に認識し、それに適応していくことで、職場での評価が上がり安定して契約更新される。また「4つのチカラ」は、環境や職場が変わっても持ち歩ける「ポータブルスキル」ですので、派遣先が変わっても安定した評価を得ることができ、着実にキャリアを積み上げていくことができるといった効果があります。
今後たくさんの方々に有効に活用していただくには、どのような課題がありますか。
派遣社員のキャリア形成支援が必要という流れの中で、派遣会社の取り組みも少しずつ進んでいるようです。しかし、まだまだテクニカルスキル支援が中心で、例えば貿易実務とか経理や英語力アップといったメニューが多くみられます。それはそれで仕事に直結しますし大切な支援ですが、今後は派遣社員の方が将来にわたって活躍していただくために、どのような支援や育成が必要なのかということを派遣会社のコーディネーターや営業が節目節目で派遣社員の方と一緒に考えていくという業界のスタンスが必要になってきます。
なぜなら、日本の労働力人口が減少することは確実で登録者一人ひとりの希望するキャリアを聞き、実現するために必要な支援を行い、育成しながら、派遣先の人材ニーズに応えていくというビジネスモデルが不可欠になってきます。
そのため登録時にはテクニカルスキルだけではなく、「4つのチカラ」のようなヒューマンスキルもチェックし、自分自身の現状スキルを認識してもらうことが必要でしょうし、契約更新時や新しい仕事を探す際にもこれを継続して活用していくことも有効だと思います。
その時、終了の理由を「ヒューマンスキルが足りなくて」とフィードバックしても派遣社員の方には、どうしたら良いのか理解はしてもらえないですよね。これからもご活躍いただくために「4つのチカラ」磨きキットを活用して具体的にどのようなチカラが足りなかったのか、どうしたら良いのかといった次のキャリアや成長に繋がるフィードバックし支援をしていかなければいけません。
今後、派遣会社の社員は、カウンセリングスキルを身に付けたり、評価・フィードバックスキルなども学んでいくと良いと思います。