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コラム

キャリア形成支援プロジェクト インタビューコラム この人に聞く 「キャリア」の話

業界共通の派遣・請負社員の能力評価と評価結果を参考に能力向上できる仕組みづくりの一つとしてJHRが「4つのチカラ」を開発しましたが、働く人にとってのメリットを教えてください。

「4つのチカラ」は、どんな職場や仕事でも共通して必要となる「汎用スキル」に着目した指標で、働く方にとってどのようなメリットがあるかと言いますと、「4つのチカラが総合的に高いほど時給が高く、直接雇用を打診される傾向にある」という調査結果が出ています。

4つのチカラが総合的に高いほど時給が高く、直接雇用を打診される傾向にある

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4つのチカラを活用して能力評価を行うと、働く方のモチベーションも高くなりますし、テクニカルスキルが同レベルであれば直接雇用を打診される可能性が高まったり、処遇改善の可能性もある。また正社員になれば他の社員とのコミュニケーションを図りながら仕事を進めていくことが求められるので4つのチカラが高ければ正社員として活躍していく能力もあるということになりますね。

それと、4つのチカラは、自分自身で能力評価を行うことができます。
HP(https://j-hr.or.jp/wp/products/careersupport/)から使用申請書をダウンロードし、JHRに提出いただければ、ツールを無料でお配りして、自分自身で取り組んでいただくことができます。

派遣や請負で働く人は、自らの能力評価とキャリア形成について考える機会が、他の直接雇用の正社員や契約社員と比べて少ない。ですから自ら能力評価を行い、自分のキャリア希望を獲得するために活用していただくには大変良いツールだと思います。

外部人材の活用をされている企業(派遣先)で「4つのチカラ」を活用していくことは、どのような効果をもたらすとお考えでしょうか?

外部人材の能力開発を行うことは、働く人のモチベーションが高くなり、円滑なコミュニケーションが実現でき、仕事のパフォーマンスも上がりますから、企業にとっては生産性向上に繋がっていくと思います。

働く方々や外部人材を活用される企業に「4つのチカラ」の活用が浸透し、キャリア形成支援が促進されていくための課題を教えてください。

一つは、社会的な仕組みが構築されるという意味において、派遣法改正は大きく影響します。改正派遣法案では、派遣社員のキャリア形成支援への取り組みを強化するよう派遣元、派遣先に明確に求めていますから、改正・施行されますとキャリア形成支援が大きく前進すると思います。

もう一つは、派遣社員自身が「将来の仕事に関する希望を持ち、実現するために努力しなければならない」ということに気づけるかどうかだと思います。
これに気づいた方は4つのチカラを活用して、仕事に関する希望を実現するための道筋を考え、それに向かって派遣元や派遣先に働きかけをしたり、自らも努力をすることで将来のキャリアを獲得していくことができる。そこに、働く人自身が気づかなければ、どんな仕組みを入れても効果は少ないと思います。
そういう意味で、「働く側の気づき」と「社会的な仕組み」があってこそ、4つのチカラが浸透し、キャリア形成支援が促進されていくのだと考えています。

佐藤 博樹(さとう ひろき)

1981年 一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
1981年 雇用職業総合研究所研究員、
1996年 東京大学社会科学研究所教授、
2014年10月より現職。

専門は人的資源管理。兼職として、内閣府の男女共同参画会議議員やワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議委員など。 著書として、『男性の育児休業』(共著、中公新書)、『ワーク・ライフ・バランス:仕事と子育ての両立支援』(編著、ぎょうせい)、『職場のワーク・ライフ・バランス』(共書、日経文庫)、『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(共編著、勁草書房)、『人材活用進化論』(日本経済新聞出版社)、『ワークライフバランス支援の課題:人材多様化時代における企業の対応』(共編著、東京大学出版会)など。
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