人材ビジネス業界で働いてきて、心に残っているエピソードは?
前職でも海外の人と一緒に仕事をする経験があり、ある程度日本との文化の違いを経験し理解している“つもり”でいたところがありました。
現在の会社で、日本での、特に私の関係する「IT」という領域での人材不足への対策として、「海外人材の日本での活用を考え、そのビジネススキームを構築する」といった取組を始めてほぼ5年になります。
日本との文化の違いを理解している“つもり”でも、これまで多くの海外人材を活用するという経験の中で、多くの「想定外」を経験することになりました。
例えば、ある国の人にとっては、その個人を皆の前で注意することは逆効果になる。また、直接本人に伝えるよりも、周りの同僚に伝えて、周囲から伝え聞く方が、本人は改善する方向につながる、など。日本も直接的なコミュニケーションよりも間接的なコミュニケーションが効果を出す風習はありますが、アジア諸国は日本と違い契約社会、ビジネスライクな考え方が強いとされていますが、直接的なアプローチが逆効果ということもあると知りました。
海外人材と一緒に働く、彼らをマネージする、というのは生半可な理解では難しいものだと今でも感じています。
現地の面接では、「日本でどれくらいの期間働くつもりですか」の問いに、ほとんどの国の人が例え嘘でも「ずっと働きたいです」と答えます。ある意味、日本が期待する答えです。
でもある国では、「5年くらいで私は国に帰って、日本で学んだ技術を国に伝えます」と明言します。
日本の常識では少々面食らう面接での問答ですが、見方を変えると「国を背負う覚悟をしている」とも言えると思います。
人材ビジネスという観点では、日本でのビジネスでもGlobalという言葉が大きく世の中で出ています。しかし、このような経験をしている私以上に、海外の習慣であったり、文化を知らない日本企業の方が多いのが現実だと思います。そういう意味ではまだまだGlobalではないと感じるのが正直感じるところです。とはいえ、実際には海外人材を活用できる余地、むしろ海外人材が適したポジションが多くあることも事実です。海外の習慣など理解し、上手に活用できるようになっていけば、ビジネスとしての広がりもあり、海外から日本で働きたい人たちにとってもチャンスがあるWin/Winを作れると感じています。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
エピソードでも記載したとおり、習慣の違い、文化の違いを理解し、うまく接することで効果を出せることを学びました。また逆に接し方を間違えると、日本では当然と思っているアプローチで失敗することも学びました。まだまだ完全に理解できているわけではないですが、海外の人材に限らず、それぞれに合った対応、アプローチ、コミュニケーションで、より効果を引き出せる、考え方によってはとてもやりがいがある、楽しみに考えられるものだと感じています。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
「人材」は当たり前ですが商品とは違い生きています。その個によってそれぞれ違います。また生活環境によって考え方、時には常識も違います。それらを理解した上で、その個に合わせたコミュニケーションを心がけることで、個の良さを引き出せることになります。
そういう見方をすると、難しさの中に答えが潜んでいる、それを見つけることは、ある意味宝探しのようなもの、と考えるととてもやりがいのあることだと思えると思います。
理解しようと歩み寄れば、特に海外人材の場合、その国の文化を理解していることがわかれば、相手も歩み寄ってきてくれます。解決できない問題はない!と考えて、まずはその人を知ることが重要だと思います。
安田昌史
IT業界でほぼ30年エンジニアとして就業、この7年は現在の会社で「人材」という切り口とITビジネスを融合し、新たなビジネス展開にも前向きに取り組む。
マンパワーグループでエンジニア部門を担当し、専門的な人材を活用したITビジネスを展開。