人材ビジネス業界で働いてきて、心に残っているエピソードは?
「ひと」との繋がりを大切にしたい、その想いが下地にありこの人材業界に入りました。故郷である宮城で震災を体験し一層想いは強くなったように思います。新社会人としての期待や不安を胸に1年間の現場実習に従事しましたが、同じ作業・同じ生活環境を経験することでスタッフが感じる辛さや悩みを共有し、営業所配属になった後もスタッフ目線を忘れずに取り組むことができました。
人材派遣とは「もの」ではなく「ひと」と向き合う仕事です。個人個人と関わる事の難しさから私自身悩み迷うことも多々ありました。そんな時、お客様から声を掛けられたことがきっかけで以後仕事に対するアプローチも「お客様と一緒にスタッフを支える」事を軸に考えるようになりました。最初の頃に比べ随分肩の力が抜けたように思います。
営業所配属直後の私はスタッフとの関わりの中で「どうすればその人のためになるか」「どうすれば気持ちよく働いてもらえるか」を常に考えながら仕事に取り組んでいましたが、なかなか思うように進まず悩んでいました。そんな時、担当先のお客様から食事に誘われました。食事の席で「あのスタッフは最初不安だったが随分作業がうまくなった」「このスタッフは良く働いてくれているがハードな作業なので体が心配」等、スタッフについて気付いた点を多数指摘していただきました。私が予想していた以上にスタッフの事を慮って頂き驚くと同時に、いつも厳しい担当の方から声を掛けられたことだけでもとてもうれしかったのですが、何よりお客様が派遣スタッフをそれぞれどのように感じているか・どんなところに注目しているか私の気づかない部分を知る機会となりました。
それ以降、私一人で悩むのではなく「全体でスタッフを支える」形になるよう積極的に現場サイドとの情報交換を行い、時にはこの部分に配慮してほしいといった提案やそのスタッフの持ち味や特徴を細かに伝えるようになりました。お客様からの指摘も期待の表れとして受け止められるようになり、スタッフへのアドバイスもより的確なものに変わり注意点が明確になったことで本人たちの作業向上が見られ、以前に比べ信頼関係も強固になったと実感しております。問題が発生した際はお客様と一緒に動くことで選択肢も増え、その現場の定着率も少しずつ上がっていき、以前に比べスタッフにとっても派遣先にとってもより良い環境へ近づけたように思います。
スタッフの成長に寄与できたと感じられる瞬間は何よりも変えがたく、お客様から「あのスタッフは是非直接雇用で向かえたい」と評価を頂けた時は本人以上に喜びを感じました。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
社長が常に話しております「人は会社の宝」。
派遣先にとってもスタッフがいかに重要な存在であるかを伝えることができれば自然とそれぞれの距離が縮まり様々な問題にも対処しやすくなります。エピソード自体は些細なものではありましたが、私にとっては視界が晴れるような貴重な体験でした。
この経験以降、スタッフともより親しくなれたようで直接雇用で弊社から移動した方とも関係は続いており、今でも声を掛けられます。その方の下に東洋ワークの新しいスタッフが配属された際は気にかけてくださり細かい部分でフォローしていただいております。
私一人にできることには限界があり、スタッフそれぞれ抱えている問題や悩みは千差万別で全てを抱えることは難しいです。お客様と一緒になって支えることで、選択肢が広がり新たに気付くことも増えました。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
「ひと」と接するという職業柄たくさんの悩みが付きまとうと思いますが、一人で抱えず上司やお客様にもどんどん聞いていきましょう。必ずしも正解が得られるわけではありませんが私のように何がきっかけで気付きを得られるかわかりません。単純にスタッフや取引先の方と仲良くできると嬉しいですし交流の多さは機会の多さと思い仕事に取り組んでいくのもひとつの手だと思います。
黒澤 瞬
震災の年に新卒で入社。1年の現場研修を終え営業所配属となる。現在は横浜営業所に所属