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クライアントの未来を創る人材ニーズの実現が、どれだけ困難でも、
人が介在するがゆえの可能性を信じて、チャレンジし続けていく。

2016.04.20

[テクノブレーン企業紹介]

平成4年設立。 “サーチ型スカウティング”の人財コンサルティング会社。特に優秀な技術者・エンジニアの発掘を得意とし、転職市場ではなかなか確保できない優秀な即戦力人財をクライアント企業に紹介。クライアント企業の成長のために必要な人財を提案する採用コンサルティング、また、人財一人ひとりのキャリア設計に合わせたオーダーメイドのキャリアコンサルティングを行うことで、双方の未来に大きく貢献することを目指している。

当時のスカウト事業は、長いサラリーマン人生で培った人脈が物を言う世界。
人脈のない自分には続けられないのでは・・と、後悔の日々。

大学を卒業後、証券会社に就職。約5年弱勤めて、平成元年、飛び込んだのがヘッドハンティングという業界でした。日本では老舗のスカウト会社に飛び込んだんですが、入社してびっくりしたのは、おじいちゃんばっかりだったんですよ。当時のスカウト会社というのは、長年のサラリーマン人生の中で培った人脈で、スカウトビジネスが成り立っていた。若手の私には人脈など、もちろんありません。後悔しましたし、毎日辞めようと思っていました。笑。

でも、楽しいと思えることもありました。ひとつ目は、「求人というもとは、世の中の最先端である」と感じたこと。ふたつ目は、仕事を通じてお会いする方が、私がこれまで会ったことのない技術系の方達で、「こんな人いるんだ!」と、ある意味面白く感じましたね。

そこで5年弱勤めて、当時の事業部長が独立される時に一緒にやらないかと声を掛けられ、バブル崩壊後の景気の厳しい中設立したのが、このテクノブレーンという会社です。当初2名でスタートを切りました。

製造請負業務が順調に拡大するも、金融引締めによりキャッシュフローが悪化。
本業の人材紹介事業だけを残し、2000人いた社員は20人へ。

一番追い詰められたのは、創業から7~8年経った頃のことです。当時の社長の考え方が「人材ビジネスを世の中に認めさせたい」ということで、株式公開を目指していました。そんな中、ご縁があって製造請負を始めたのですが、この事業があれよあれよという間に大きくなり、2000人弱の社員を抱えるようになっていました。

そして、1999年の終わり頃だったと思いますが、金融のリセッションが起きたんです。いわゆる金融引締めが始まりました。銀行も貸し渋りという状況で、途端にキャッシュが回らなくなり、黒字倒産という可能性も出てきます。そこで、一旦本業の人材紹介だけを残し、契約先を引き取って下さる会社を探して、他を全部手放すことになりました。非常に苦しい時期でした。ほんの1年半の間に、2000人弱いた社員を他社に引き受けて頂き、20人規模まで縮小せざるを得ませんでした。だからこそ、本業の人材紹介事業でしっかりしておかないといけない。私は当時、人材紹介事業の責任者でしたから、何とか売り上げを伸ばさないといけないと、とにかく必死でした。逃げるわけにはいきませんでしたから。

景気に左右されにくい、現状の採用に満足していない人材ニーズを汲み取り、
難易度の高いマッチングをどう実現するかが、生き残りの鍵。

振り返ってみると、実はこの時期に今のテクノブレーンの基礎ができたと思っています。私どものお客様の殆どが、大手の人材紹介会社を使っている中で、私は必ずお客様に聞きます、「満足していますか?」と。すると、「100%満足していない」と回答が返ってくる。欲しい人材、特に技術系が採れていないと。景気が決していいとは言えない時期でしたが、半導体などを中心に景気変動でブレない求人ニーズがありました。次世代を考えれば、企業の人的投資は必要不可欠です。一方で、景気の厳しい時期、人は保守的になります。高い要望の人材ニーズと保守的になる潜在マーケットでは、大手さんでも簡単に成約できない難しいマッチングでした。そこをどう取り持っていくのか、我々は真剣に取り組みました。あの時期に、難易度の高いマッチングから逃げずに向き合ったことが、我々の礎になっています。弊社は元々、テクノ&ブレーンの紹介というが社名の由来ですが、この時期をきっかけに、やらざるを得なかった「テクノブレーン」の紹介事業に集中していくようになり、今の基礎ができあがっていきました。

徹底的にクライアントの立場に立ち、採用の成功を目指すこと。
その成功は、転職する方々の満足なしには、成し遂げられない。

僕らのスタンスは、徹底的にクライアントの立場に立つことです。お金を頂いていますから。お客様から「この人を採用して本当に良かった」との評価を得ない限り、成功ではありません。では、「この人を採用して良かった」と言って頂くために何が必要か。実は、転職した人が満足しないと、クライアントからその言葉は出てこないんですよ。どんなに優秀な人を採用したとしても、転職した側が満足していないと、決して「成功」にはならない。そのギャップを埋めるために、僕らは本当に人を欲している部門の責任者や採用をジャッジする人に話を聞きます。「本当に求めているのは、どんな人材なのか?」。さらに1歩踏み込んで、「御社の体力で、そういう人材が本当に採用できるか?使いこなせるのか?」という話まで確認します。そこまで踏み込まないと、入社して後悔、採用して後悔が生まれてしまう。法律的には自己責任ですが、道義的な責任があると私は思っていますので、リスクもきちんと説明していく。入社してから後悔はして欲しくない。「転職して良かった」と言って頂けるのは非常に大変。簡単なことではない。しかしそれが、最終的にはクライアントの満足に繋がると思っています。

僕らの仕事は、情報がないところからスタート。
相手の真意がどこにあるのか、それを汲み取るプロセスが人の介在価値。

登録型の人材紹介事業と違って、僕らのスカウト型人材紹介事業は、情報がないところからスタートします。また、相手は積極的に転職を考えているわけではありません。10人中10人が「転職したいです」なんて、在り得ない。でも、彼らは私と会う時間を下さった。そして、「興味本位ですから」とおっしゃる。しかし、この「興味本位」には必ず何らかの理由があるんですよね。彼らの真意を探り、きちんと汲み取っていくことが大切だと思っています。そのプロセスは、決して簡単ではありませんが、そこをショートカットしようとすると、どうしても上手くいかない。そのプロセスこそが、僕らの介在価値だと思うんです。

AI・ロボット化が進むことで、ある程度のマッチングは機械でできるような時代が絶対くるんですよ。経営からみれば、人を介さずにやった方が儲かります。我々の仕事が機械に置き換わってしまう。しかし、新たな仕事にチャレンジする決意をして頂くには、人が介するからこそできることだと思っています。この力を磨いておくことが大切だと思っています。

僕らの仕事は、人を見抜くことではない。
逆に、常に相手に見抜かれることを前提に、どう信頼を築けるか。

新入社員に僕が必ず言うことは、「僕らの仕事は、人を見抜くことではありません。逆です。絶えず、見抜かれていますから。あなた自身が信頼されないと話は進みません」ということ。スカウトしようと思ったら、1対1で会わなくてはならない。「あなたの電話番号、住所を教えて下さい」と言わなきゃいけない。普通教えませんよ。僕なら絶対教えない。でも、僕らの仕事はそれを教えて貰わないと仕事にならない。まずは、「私を信用して下さい」から始まる。でも言葉で信用して下さいと言って信用されるわけはないですから、それをどうするか。私は、最低限2つのことが必要だと思っています。

我々がお会いするのは、その道のプロ。自分達の専門領域の知識のない相手と話そうとは思いません。よって僕らの仕事は、経験・体験のないこともしっかり学んで、ちゃんと自分の知識として相手と対峙していけるようにならないといけない。勉強嫌いではダメなんです。それがひとつ目です。

ふたつ目は、ファーストインプレッション。相手の印象を決めるのは、最初の20秒と言われていますが、その人の前だけ一所懸命やろうとか、礼儀正しくしようと思っても、一瞬一瞬の挙動で人は見抜きます。誤魔化しは効きません。日頃から生活をきちんとすることが大事です。

このふたつがあって、初めて「きっかけ」を頂ける。その後の話の展開や間の置き方などは自分で学んでいくしかないんですよね。たくさんの人と会うしかないんですよ。

次の未来を創る要望に、ちゃんとお応えできるかが勝負どころ。
どんなに苦しくても、逃げちゃいけない。

ある意味人材ビジネスの醍醐味だと思うんですが、人のニーズのあるとこは、世の中の変化の最先端です。特に技術の分野は、開発力の競争ですから。ここ20年くらいは大きく日本も変わり、技術者の争奪戦がワールドワイドに始まっています。「いい人材を如何に確保するか」で勝ち抜いていかないと会社の存在がなくなっていく。会社側はその覚悟で人を採用しています。きちんとした技術者を集めておかないと、開発競争力で負けます。技術の開発は、今日明日の話ではなく、どんなに短くても3年、5年10年掛かります。そのタームを見ながら事業化で投資していきますから。そこにちゃんとお応えできるかが勝負どころじゃないかと思います。どんなに難しくても、逃げちゃいけない。繰り返し、繰り返しやり続ける。上手くいかなくて、苦しくても、「どうやったら上手くいくのか」に拘って、チャレンジし続けないと。諦めた時点でお終りかなと思っています。

人より大きなリスクを抱え、修羅場を乗り越えてきた経験がプロを育む。
自分なりの修羅場を経験し、乗り越える努力を続けて欲しい。

転職は、たった一人で相手の組織に行くわけです。スカウトで来る人に対して、周囲は「はい、お手並み拝見」ときますから。仲間なんかいませんよ。ある意味、敵ばかりです。そんな中、たった一人で、半年なり1年なりで成果をあげないといけない。それを乗り越えられる人でなければ転職しちゃダメですし、他の会社にも通用する人達です。

僕らがお会いする、つまりスカウトが掛かる方々に共通することは、修羅場を潜ってきた経験があること。そして、人より多く仕事をしていること。多く仕事をするということがどういうことかと言うと、リスクを抱えているということ。リスクの度合いが、他の方々と全然違います。数倍上です。それを苦しみながら、もがきながら乗り越えてきた方々がプロです。他社でも通用するキャリアを、如何に自分の中に作るか。自分なりの修羅場を経験しておかないと、その評価は得られません。仕事ですから、必ず嫌なことはあります。問題は、そういう時に「どうするか?」なんですね。そこが問われます。

人材ビジネスも一緒だと思うんですね。日々辛いことがあるかと思いますが、もがき苦しみながらも、何とかして乗り越えていこうと努力を続けることが大切です。「自分はここまでやってきたんだ」という乗り越えてきた事実が、自信になる。

失敗して当たり前ですから。失敗しても諦めず、逃げずに乗り越える努力を続けて下さい。それは自分の財産です。誰も教えてくれません。自分で培うしかないんです。

 

 

能勢賢太郎 (ノセ ケンタロウ )

テクノブレーン株式会社代表取締役

[プロフィール]

1960年 東京生まれ。大学卒業後、大手証券会社に入社。

    その後、日本で老舗の人材紹介会社へ転職し、ハイテク、金融、不動産業界を担当

1992年 当時の上司とともに独立、テクノブレーン設立とともに入社

2005年 同社の代表取締役に就任

現在は、(一般社団法人)日本人材紹介事業協会の理事としても活躍

●座右の銘 「運は出会いにあり」

●お勧めの一冊 「ドラッガー関連の本」~真摯に取組む姿勢を学びました。

更新日時:2016年04月

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