人材ビジネスに関わったこの1 年。一番印象に残るエピソードは?
人と関わる仕事の側面と、ものづくりの側面を備えた製造系人材ビジネスに魅力を感じ、電機メーカーより転職して1年目です。前職でも、派遣・請負で働く外国人スタッフを受け入れていましたが、今度は派遣・請負会社として送り出す側の立場になりました。
派遣先企業から見たスタッフの姿が分かっていたので、今は受け入れる側、送り出す側の両方の気持ちが分かるようになったものの、外国人スタッフとものづくりを進める中で、言葉や文化の違いによる苦労を改めて実感しました。
コミュニケーションをとる際に、こちらの説明が相手に上手く伝わらないことは日本人同士でもよくあることですが、外国人スタッフとの場合では、それぞれが背景とする文化の違いから、ちょっとした言葉のニュアンスや行動が、勘違いや誤解につながってしまうこともあります。
例えば、製造現場では当たり前だと思っていた保護具(マスク等)の着用について、外国人スタッフからなぜ着用しないといけないのか説明を求められ、納得しないと保護マスクを外してしまうことがありました。
言わなくても理解してもらえるという感覚が通用しないことを痛感し、今までにない状況に苦労を感じましたが、間接部門で働く日系人社員に相談し、外国人スタッフへの説明の仕方をアドバイスしてもらうことで、状況打開のきっかけをつかみました。細かい部分に気をくばり、外国人スタッフの心に届く方法で一つ一つ時間をかけて説明し、理解してもらうことが何より重要です。外国人スタッフとともに力を合わせて、ものづくりを行うことができるよう、日々、試行錯誤しています。
また、外国人スタッフは日本と違うしきたりに生きることから、励ましのつもりで肩を叩いた行動が、体に触れられるのを嫌う外国人スタッフにとって嫌悪感をもって受け止められるといった誤解を生じることがあります。
外国人スタッフの文化や生活スタイルについては、間接部門で働く日系人社員にアドバイスしてもらうほか、私は仕事外で日系人の方々に接する機会を設け、より相手の国の文化を理解するように心がけています。
たとえば、日系人の方が経営するブラジル料理店に行って店員の日系人と会話したり、バーベキューパーティーで同じ肉を焼く作業を行うなど、仕事を離れたところでのコミュニケーションをとるようにしています。積極的に外国人スタッフを理解しようと試みて、理解してもらえる言葉で伝えるようにすることで、外国人スタッフとの距離は徐々に縮まってきたと感じます。
しかし、日本語が話せない外国人スタッフもいることから、今後は外国人スタッフの母語であるポルトガル語を覚え、私自身の言葉で伝えられるようになりたいと思います。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
外国人スタッフとのコミュニケーションで一番の障壁となるのは言葉です。
日本語で伝えるときも、なるべく分かりやすく具体的に説明するのはもちろんなのですが、私は特に、数値化して説明するようにしています。数字は万国共通であり、言葉の違いを超えて共通の理解を持つことができます。例えば稼働率や目標数といった数値で示すと、外国人スタッフにも明確で分かりやすく、同じ想いでものづくりに臨むことができると感じています。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
私が信念として言い聞かせている2つの柱を紹介します。
1. 数値化できないものはない。
数字は誰にとっても明確であり、万国共通なので、なるべく数値化して表現したいと思っています。
2. 「木を見て森を見ず」ではなく、「木も見て森も見る」。
一人ひとりの現場スタッフをしっかり見て、さらに、ものづくり現場全体をもしっかり見ることが、製造系人材サービスの管理
者には欠かせないと思います。
山本 学
人と関わり、より現場に近い場所でものづくりに携わりたい想いから、電機関係メーカーより転職して1年目。
製造請負の推進を中心に、工程管理・品質管理等を行っている。