人材ビジネスに関わったこの1 年。一番印象に残るエピソードは?
2012年の6月、株式会社エジソンへ入社し、新規企業開拓専門として営業部に配属となりました。
設計開発等の技術分野に特化した理系エンジニア正社員を大手メーカー先に派遣する企業という事で、文系一色だった私にとっては全てが新鮮で勉強の毎日です。
元々人とのコミュニケーションを取る事が苦手だった私が営業職を希望したのは、自分への挑戦の為でした。
就職難の最中、当時短期大学生だった私は大学の就活相談センターに通い、学生アドバイザーの方に度々相談をしていました。自分自身の適職、将来への漠然とした不安や悩みを打ち明け、それに対してとても親身になったアドバイスを頂きました。その時の記憶は今でも鮮明です。
人と接する事を苦手とした自分自身を変えたいと強く希望した事、当時の自分と同じく将来に悩んでいる方を良い方向に導く手助けが出来たら、そんな思いでエジソンに入社しました。
入社当初は上司や先輩の仕事を観察し、ただひたすらに話を聞き、メモを取り調べる事から始めました。名刺交換の仕方、ドキドキしながら新規のお客様に電話でアポイントを取る事、時にはお客様や上司から御叱りの言葉やアドバイスを頂く事もありました。心挫けそうな時は、『給料は我慢料だ。若い内に苦しんだ事は、歳を取った時に初めて本当の意味を知る事が出来る。いつかきっと自分自身の糧になる。』という先輩の言葉に支えられました。気付けば次第に、任される業務責任の量に比例し、笑顔になれる時間も増えていきました。
そんな毎日の中、当時私の心に今でも印象深く残っている出来事があります。
現在私が担当するエンジニア人数は40~50名で、その半数以上が20代前半~後半の若手になります。その為、ご結婚し家庭を持たれている方はあまり居ませんが、ある時、数少ない既婚者エンジニアAさんから退職希望の相談がありました。Aさんにはお子さんも居らっしゃいます。当時初めての退職希望者対応という事もあった為、上司に同席して頂き、Aさんと私と計3名で面談を実施しました。
退職希望の理由は給与面に伴うフリーランスへの転向でした。今従事している業務に対して不満は無いが、家庭事情との間で葛藤し悩んでいる様子でした。
私自身未婚の為、Aさんの思いや今の家庭状況を汲み取ろうとする事に必死でしたが、同席して頂いた上司は非常に落ち着いた態度で真剣にAさんの話を聞いていました。決して退職希望を真っ向から否定し縛り付ける事も無く、その反面フリーランスの厳しさや条件、一家の大黒柱として子供に苦しい思いだけはさせてはいけないと、優しくもあり厳しくもある言葉を投げ掛けていました。当時の私はただその言葉を聞いている事しか出来ませんでした。Aさんも悩みに悩んだ結論だった様で、結果的に退職の意向は変わりませんでした。しかし、終始固い面持ちだったAさんの表情が、話を聞いていく内にどこか落ち着いた様な表情に変わり、最後には『話を聞いてくれて有難うございました。アドバイスを頂いて、少し気持ちが楽になりました。』と御礼の言葉を頂きました。
面談を終えた帰り際、上司から次の様な言葉を頂きました。
『Aさんには家族が居る。未婚エンジニアの方でも背景に様々な家庭環境や事情がある。家庭問題を変えようとする必要は無い。けれども営業として、担当しているエンジニアをただ職に導くだけでなく、その人達に家庭や人生がある事を忘れてはいけない。あなたもそれに関わっているのだから。』
今思えば当たり前の事。けれども当時の私にとって非常に感銘深い言葉でした。営業として数字を上げる事に邁進し、時折予期せぬトラブルに追われている毎日でしたが、ふと自分自身が当時憧れたあの学生アドバイザーを思い出しました。
相手の立場に立って悩みを共有し、最適な方向に導こうとしていたあの人も、きっとこんな思いだったのではないだろうかと。
今年の6月でちょうど入社4年になり、5年目に突入します。
毎日様々な出来事が起き一喜一憂する事もありますが、自分が目指すべき営業の在り方やその原点を、今でも初心に返り忘れぬ様、頑張っています。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
人材ビジネスに携わる前までは、営業は『とにかく数字を上げてなんぼ』というイメージでした。
しかし、実際に人はモノと違い感情があります。目先の利益しか考えていない人間に、人が付いて来るはずはありません。
相手の成長を本気でサポートする事が出来れば、自分自身の成長にも繋がると実感しました。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
自分自身の短所をマイナスとして卑屈に捉えず、どうしたらプラスに転向出来るかを考えてみて下さい。
実現した時のメリットを実感する事が出来れば、きっと仕事が楽しくなると思います。
人材ビジネスは有形商品を扱う商売ではなく無形サービスですから、自分の思う通りに仕事が進むとは限りません。
しかし、人材ビジネスには非常に多くの出会いがあります。ネット社会の現代で、人と人とが顔を合わせ目標達成し喜びを肌で感じられる仕事としてはピッタリな業界ではないでしょうか。
金子 睦実
販売接客員からの転職で、2012年第二新卒として入社