人材ビジネス業界で働いてきて、心に残っているエピソードは?
我々にとって日々の業務の一貫である「お仕事説明」。
しかし求職者の方々にしてみれば、真剣に仕事を探されており、質疑応答含め面談時間がすごく重要な時間である。この人材業界に転職した際1番最初に学んだ基本的な事ですが、『言葉の意味と自身の業務の重責』を実際に体感出来たお話です。
入社して3年目に入り、お客様・求職者の方々とのやり取りを初めとした日々の業務にも慣れ始めた頃、求人をだしているD社のお仕事説明を、10名程の求職者の方々へお話しさせて頂く機会があり、その中の一人に、Sさんがいました。
D社は製造工場で、ラインスピードもかなり速く、過去にライン作業を経験した事がある男性の方でもついていけない事がある様な現場でした。Sさんはどちらかというと小柄な女性の方で、過去に製造現場の経験も無かった為、面談の際、「正直難しいのでは?」と感じたのが第一印象でした。
しかし、お話しをする中で、ご本人の言葉の中に「この現場で働きたい」という力強い思いが感じられました。何よりもSさんからの底知れぬ熱意に打たれ、体力・技術的な面を心配しながらもD社にて就労して頂く事になりました。入社以降、Sさんはすごく真面目に就労され、心配していた技術面・ライン作業もすぐに慣れ、何の問題も無くお仕事をして頂いております。
Sさんが入社されてから、半年程経過したある日曜日。家の近くのショッピングセンターで私が買い物をしていると、偶然にも5歳になる娘さんと一緒に来られていたSさんとお会いする事がありました。娘さんは初めて会う私を見ると「いつも、お母さんがお世話になっています。」と元気良く挨拶をしてくれ、短い時間の立ち話程度でしたが、Sさんとお話しをしている時に知らなかった事実を聞くことができました。Sさんは離婚され、シングルマザーで娘さんを養っており、今まで働いていた職種から、少しでもお給料の良いお仕事を探していたが、中々見つからずに焦っていた所、今回のご縁に繋がったそうです。
お家で娘さんに、「自分が一生懸命に働いている事・働けている事」を話してくれているとお聞きし、別れ際にSさんと娘さんから、『ありがとうございます』とのお言葉を頂きました。
そのたった一言に、前職では味わう事の出来なかった感激を得ました。
そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?
営業職でありながら、「物」ではなく「人」と「人」を繋ぐこのお仕事。登録シートや履歴書等の紙の上に出てくる情報だけで判断してはいけない事。当たり前ではありますが、お一人お一人、様々な事情を抱え求職されている事を再認識出来ました。
時に悩み、うまくいかない事も多い仕事ですが、一気に日々の悩みや疲れを癒してくれる「ありがとう」の言葉でした。
人材ビジネスで頑張る皆さんへー激励メッセージ
この人材業界に関係の無い、全く違う営業職からの転職でした。コンプライアンスを遵守する為に、法律の知識を勉強する事や、様々な思いを持つスタッフの方との触合いは難しく、失敗する事も多いですが、上司や周りの同僚の支えの下、お客様からの要望にお応え出来た時、求職者の方の望む職場にうまくご案内出来た時、その喜びは何事にも変えられないと感じる日が必ず来ます!
辻 健太
前職の輸入タイヤの卸し営業から転職し、入社4年目