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「MBAは社会人の教養!?」〜ビジネスパーソンにとって“学ぶこと”が変化の時代を生き抜く武器になる。

2017.10.27

「学ぶこと」についてのトークセッションを開催。

リモートワークを推進したり、週休3日制を導入したりと、各企業が「働き方改革」に取り組んでいます。それらの取り組みに「自由になる時間」が増えてきたと実感するビジネスパーソンも多いでしょう。そうしたなか、その時間を「学ぶこと」に費やしているビジネスパーソンも少なくありません。

 

そこで、注目を浴びているのが社会人向けのビジネススクールです。今回は、中央大学ビジネススクール(CBS)で「人的資源管理」や「人材サービス業論」といったプログラムを担当する佐藤博樹教授がファシリテーターとなり、ビジネスパーソンが「学ぶこと」の意味についてトークセッションを開催しました。

 

参加したのは、社会人学生3名。3名ともに佐藤教授の授業を受講しており、人材サービス業界で活躍している方々です。実際に働きながら学ぶことを実践している3名が、どのように感じているのか。ぜひ、ご覧ください。

 

【写真左→右/プロフィール】

■中央大学 ビジネススクール 大学院戦略経営研究科 佐藤博樹 教授

社会学修士(一橋大学)/法政大学経営学部教授、東京大学社会科学研究所教授を経て現在、東京大学名誉教授。兼職として、民間企業との共同研究であるワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト代表、内閣府・男女共同参画会議議員、経産省・新ダイバーシティ経営企業100選運営委員長などをつとめる。

http://www2.chuo-u.ac.jp/gakuinkai/jiho/pickup/gakuin498_online04.html

 

 

■株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント 事業企画部 フェロー 黒澤敏浩さん

ジェイ エイ シー リクルートメントに新卒入社。現在16年目。人材コンサルタント、人事担当などを経験し、現在はマーケティングや市場調査などを手掛けている。CBSにて「人材サービス業論」を受講中。

 

■株式会社リクルートスタッフィング 港第2営業ユニット 1グループ マネジャー 宮田清香さん

リクルートスタッフィングに新卒入社。現在16年目。営業担当として派遣スタッフのサポートやクライアント対応を経験した後、現在はマネジャーとして10名のメンバーを束ねている。2016年10月からMBA取得を目指し、CBSに通い始めている。

 

パーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス) 人材紹介事業部 紹介企画統括部 人材紹介BITA部 戸澤和俊さん

接骨院の経営から外資系ITコンサルティング会社に転職し、以後ITをメインフィールドに数社で活躍。パーソルキャリアに中途入社して3年目。人材紹介事業に関わる基盤システムの刷新プロジェクトを担当している。2017年4月からMBA取得を目指し、CBSに通い始めている。

実務家にも面白い内容。

佐藤教授 : 本日は人材サービス業界で働きながら、科目履修生を含めてビジネススクールに通っている3人に集まってもらいました。昨今の「働き方改革」で、以前に比べて自由に使える時間が増えた方もいらっしゃると思います。その時間を、なぜ「学ぶこと」に費やそうと思ったのか。そこをまず聞かせてください。

 

黒澤 : 私は以前、別の場で佐藤教授から「人材サービス業論」という単科講座を勧めていただいたことが「学び」のきっかけです。人材サービス業界の実務家が受講しても面白い、と佐藤先生がおっしゃっていたのですが、予想以上に面白かったですね!

 

佐藤教授 : どのあたりが面白いと感じたのでしょう?

 

黒澤 : 人材サービスの中でも、弊社の事業は人材紹介業のみ。隣接する人材派遣業からの業界の見え方なども学ぶことでき、視野の広がりや新しい発見を得ることができました。さらに、人材サービス業に携わるさまざまな方々との出会いや交流も面白さを感じた点ですね。※黒澤は先約がありここで退出

今の仕事に感じた「頭打ち感」。それを打開すべくビジネススクールに通い始めた。

佐藤教授 : 次に、宮田さんはいかがでしょうか?

 

宮田 : ビジネススクールに通うことを決めたのは2つの理由からです。一つ目は、マネジャーとして長くメンバーマネジメントに携わってきましたが、マネジメント手法に頭打ち感があり、それをなんとか打開したかったということ。そして二つ目は、近年、派遣法や労働契約法改正などにより人材業界が激変する中で、その背景などをアカデミックに学び、知識を得ることで、お客様に対しての課題解決力を一段と高められると思ったからです。

 

佐藤教授 : それでは、戸澤さんもお願いします。

 

戸澤 : はい、私は今までに5社での勤務経験がありますが、これまで仕事の知識・ノウハウはすべて自己流で学んできました。私は現在32歳ですが、30歳を超えたあたりで、ビジネス知識を体系的に学びたいと思ったのです。

さらに、今手がけている基盤システムの刷新プロジェクトは非常に長いプロジェクトです。外部から刺激を受けることで、間延びすることなく、プロジェクトにも良いフィードバックを反映させてみたいと思いました。

 

佐藤教授 : なるほどなるほど。

 

戸澤 : さらに付け加えると、私はパーソルキャリアに中途で入社したので、人材サービス業界に関わっている年数も約2年半と短いのです。「ITは分かるけど、事業は分からない」——こうした状態では困るので、改めて人材サービスを理論的に学ぶためにCBSを選びました。

仕事と学業の両立から、自ずと生産性が高まっていく。

佐藤教授 : 次に、「学ぶこと」は大事だと思っているものの、実際になかなか行動に起こせないという方も多くいます。「学ぼう」と実際に行動に移すために重要なことはなんでしょう。

 

宮田 : 私が所属するリクルートスタッフィングでは、5年ほど前から限られた時間の中で最大限の成果を出すという「スマートワーク」に取り組みはじめました。そうした中で、うまれた時間を利用してビジネススクールに通う同僚が少しずつ増えてきたんです。「学ぼう」という個人の想いを受け入れ、理解をする仲間や会社の姿勢も必要になると思います。

 

戸澤 : そうですね。まずは、会社や上司から理解を得ることも重要だと思います。またその他に、会社内だけではなく「会社の枠に捉われない物差し」で、自分を客観的に見ることができるか否かも重要です。自分の会社に閉じこもってしまうのでは、もったいないと思います。

 

佐藤教授 : 「学ぼう」と行動に移したあとに直面するのが、仕事と学業の両立です。みなさんは、ビジネススクールに通いはじめたことで仕事の仕方に変化はありましたか?

 

宮田 : 大きく変わりましたね!私は、平日18時30分から授業があるので、18時にはオフィスを出なければなりません。生産性を上げないと物理的に立ち行かなくなります。

とにかく時間がないので、他にいいものがあれば、それを活用する癖がつきました。これは、リクルートでもよく使われている「TTP」(徹底的にパクる)です(笑) また、とにかく最短で情報を得るために社内外にアンテナを張り巡らせるようになりましたね。

 

戸澤 : 私も宮田さんと同じく、生産性を上げつつ、限られた時間の中での仕事のボリュームを最大限に高められるように努力しているところです。やはり時間がないので、自ずと判断や意思決定のスピード・精度は上がってきていると実感していますね。

MBAは、ビジネスパーソンの「教養」にしてもいい。

佐藤教授 : なるほど。みなさん仕事と学業を両立させる努力を通じて、働き方自体に大きな変化が出てきているのですね。次に、ビジネススクールで学んだことは実務上でどのように役立っているのかについて聞かせてください。

 

宮田 : CBSで知識を体系的に学ぶことが日々、実務に活かされていると感じています。例えば、組織論を学んだときに、自分の会社をアカデミックに捉えながら、組織のどこに良さと課題があり、どのように更なる進化をさせていければよいのかが見えてきました。

 

戸澤 : 私は、「ビジネスパーソンの教養としてMBAがあってもいい!」と確信するぐらい、実務に活きています(笑)。特にCBSだと、経営戦略・マーケティング・人的資源管理・ファイナンス・経営法務などをまんべんなく学ぶことできるため、例えば自分が企画を立てたときに、それをどのように進め、どのように評価するかなど、さまざまなシチュエーションで学んだことが活かせますね。

 

佐藤教授 : ちなみに戸澤さんは、ビジネススクールを選ぶ中で、なぜCBSを選んだのでしょう?

 

戸澤 : 一番大きいのは、「社会人経験3年以上」という応募資格を設けている点にあります。近しい価値観でディスカッションできなければ、全く違う趣旨の話になってしまう可能性がありますから。その他にも、CBSは家にも職場にもとても近い、という理由もあります(笑)。

 

佐藤教授 : なるほど。確かに「社会人経験者」に限定していることは、ビジネススクールを選ぶ上で大きなポイントになりますね。実務経験の無い学生が受講生の中にいると、実務に基づいた議論ができませんね。また、当然ですが自分の学びたいことが学べるかも、重要なポイントになりますね。また、学び続けるためには、講義が開講されている曜日・時間帯、さらに通学に要する時間も大事です。

それでは最後に、「学びたい」と思っているビジネスパーソンに向けてメッセージをお願いします。

 

宮田 : 最初は「課題も毎週あるし、本当に私できるかな」という不安を感じていましたが、入ってしまえば何とかなります(笑)。転勤になってしまった方を除けば、途中で辞めた方はいません!同期で交流を持ち切磋琢磨し励まし合いながら、みんなで頑張っています。

 

戸澤 : 10年ぶりくらいに学生に戻ることが、とても新鮮だと感じていますね(笑)。一つの会社にいると、自分自身ががんじがらめになってきてしまいます。そんな自分を解放して、社外の仲間とともに刺激し合い、新たな自分を作る。ビジネススクールでは、そんなチャンスを得られると思いますね。

 

佐藤教授 : みなさん、ありがとうございました。戸澤さんのおっしゃる通り、勤務先の会社での役職などに関係なくみんながフラットに話ができる場はビジネススクールならではだと思います。

そして最後に私からですが、今後、企業の事業構造は絶えず変化を遂げていきます。それはすなわち、社員の仕事内容もどんどん変わっていくということです。そうしたときに、今までのOJT中心の学び方では立ち行かなくなります。ビジネススクールは、仕事に必要な知識や手法を理論的・体系的に学ぶことができる場。こうした学びの場を利用することが、これからの予測できない「変化の時代」には必要になってくると思いますね。

中央大学ビジネススクールに関しては、下記のホームページを参照ください。

http://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/

 

 

更新日時:2017年10月

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