人材サービス産業の4つの形態
人材サービス産業は、採用関連業務の代行や、人材育成のための研修事業など多岐にわたっていますが、代表的な形態は、求人広告事業、職業紹介事業、派遣事業、請負事業の4つです。これら4形態の市場規模は、売上ベースで約9兆円と推定されています。
9兆円という市場規模は、介護サービスや電子部品・デバイスよりも大きい市場規模になります。
人材サービス産業は、年間で約801万件の求人を取り扱い、約475万人に対してマッチングや就業管理を行っています。
求人広告、職業紹介、派遣、請負事業に共通するのは、企業の人材活用ニーズと就業者の就業ニーズの充足に関わる機能を有している点です。その関与の程度は、事業形態によって異なります。
求人広告事業は、求人開拓と就業希望者への情報提供を主とするマッチング機能を担います。入職経路シェアが最も高いのは求人広告であることからもわかるように、求人広告は、労働市場における情報流通のインフラとして普及していると言えます。
職業紹介事業は、就業希望者へのキャリアコンサルティングや、紹介段階における職業能力や人物評価など、求人企業と就業希望者のマッチングの工程に深く関与しています。高い専門性を必要とする人材の募集や、多様な手段で人材を確保したい企業などに活用されています。
派遣事業と請負事業は、就業者と雇用契約を結び、雇用主として賃金や労働時間の管理、OJT・Off-JTによる教育訓練などの就業管理を行う点に特徴があります。派遣事業と請負事業における就業管理の実現には多くの場合、ユーザー企業との連携が不可欠であり、この点が、企業における直接雇用の社員の就業管理とは異なります。また、就業していない者も含めた登録者全体に対して教育訓練機会を提供している事業者も多いです。
近年では、企業や個人のさまざまなニーズに応えるために、求人広告、職業紹介、派遣、請負事業を複合的に行う事業者や、紹介予定派遣のように職業紹介と派遣の2つを融合した新しいサービスを提供する事業者も増えています。