キャリアチェンジプロジェクト ポータブルスキル活用のヒント

納得度の高い再就職実現を支援するためにポータブルスキルを研修テーマに導入

納得度の高い再就職実現を支援するために
ポータブルスキルを研修テーマに導入

【導入事例】株式会社リクルートキャリアコンサルティング

株式会社リクルートキャリアコンサルティングでは、2014年に社内の全キャリア・コンサルタント向けの研修、2015年1月からは営業担当者向けの研修において、ポータブルスキルを研修テーマに導入しています。そこで今回は、その導入の背景と今後の方針について、研修企画を担当されている得本安彦氏にお話を伺いました。

株式会社リクルートキャリアコンサルティングでは、2014年に社内の全キャリア・コンサルタント向けの研修、2015年1月からは営業担当者向けの研修において、ポータブルスキルを研修テーマに導入しています。そこで今回は、その導入の背景と今後の方針について、研修企画を担当されている得本安彦氏にお話を伺いました。

株式会社リクルートキャリアコンサルティングでは、ミドルマッチフレームのポータブルスキルをキャリア・コンサルタントや営業担当者向けの社内研修に取り入れていると伺いました。研修のテーマに、ポータブルスキルを組み入れることになったきっかけは何だったのでしょう。

当社では、企業側の事情により、それまでとは異なる生き方や働き方を選ぶことになった個人(当社での名称は「会員」)に対し、再就職や独立、地方創生、海外暮らし、田舎暮らしなどといった新しい人生プランを実現するご支援をしています。その中でも私は、再就職支援の分野のスーパーバイザーとして、全社的なサービスの質向上をミッションに、社員向け研修や会員向けの各種セミナーの企画・運営、講師、ツール開発などを担当しています。そのような立場から当社のサービスレベルを見ると、まだまだ改善・向上の余地があると感じていました。

再就職支援の場面では、Will(会員本人がやりたいこと)やMust(給与・勤務地等の譲れない条件)を確認するだけでなく、Can(できること)を会員本人とキャリア・コンサルタントがしっかりと認識し、再就職活動に生かしていくことが特に重要です。ところが、求人企業のニーズと会員のCanをマッチングさせる難度が高く、自己理解セミナーやR-CAP等のアセスメントによって明確になったCanよりも、WillやMustをついつい優先しがちでした。

しかし、それではやりたいことや条件面の希望ばかりが膨らんでしまい、いくら応募しても採用決定に至らず、時間の経過とともに希望や条件について妥協していくうちに、最終的には本人の納得度の低い再就職になってしまいます。

当社の事業方針でも、再就職支援力のさらなる向上を目指し、「選考通過率の向上」や「納得度の高い再就職の実現」が掲げられており、その推進策としてポータブルスキルの活用を研修に導入し、キャリア・コンサルタントと営業担当者、双方の「見立てる力」を高めようと考えたのです。

Q.具体的には、どのようにポータブルスキルを研修に導入されたのですか。

まずは、キャリア・コンサルタント向けに毎年行っている定期研修の1テーマとして、2014年11月より、ポータブルスキルを組み込み始めました。受講したキャリア・コンサルタントの感想の多くは、ポータブルスキルの概念自体は目新しいものではないが、それを生かした再就職支援が十分にできていなかったという気づきを得た、というものでした。また、質の高い再就職支援を実現するには営業担当者向けにも同様の研修を実施してほしいという意見が多く寄せられ、翌2015年1月からは、営業担当者の研修にもポータブルスキルを導入。こうして、キャリア・コンサルタントにも営業担当者にも、ポータブルスキルに対する理解はある程度進みました。

しかし、研修を離れ現場に戻ると、まだまだキャリア・コンサルタントと営業担当者とのやり取りの中で、ポータブルスキルを共通言語として業務に活用できている例はあまり見られませんでした。

そこで、2015年11月からは、キャリア・コンサルタントと営業担当者で研修を分けるのではなく、混成チームをつくって合同の定期研修をスタート。お互いの業務におけるポータブルスキルの活用方法を知ることで、両者間での共通言語化が進みました。それによって、営業担当者が求人企業の抱えている課題を深くヒアリングするようになったり、会員を企業に効果的にアピールしに行ったり、アグレッシブな営業活動につながり始めています。

ポータブルスキルの導入という点だけに焦点を絞ると付加業務に見えるため、初めは抵抗を感じる人もいます。しかし、全社的なサービスの質向上という大方針を推進するために、ポータブルスキルを社内で共通言語化できれば、会員と求人企業、双方のニーズに合った再就職支援を効率的に実践できるスタイルに変わるでしょう。結果的に、会員の満足度向上と合わせて業務の生産性向上も期待できると考えています。

Q.今後の抱負について教えてください。

今後、キャリア・コンサルタントが国家資格になるにあたり、ますますプロフェッショナルな観点でのスキルの見立てや、納得度の高い再就職に結びつける力が求められます。そうした意味でも、ポータブルスキルを再就職支援の場で活用していくことの重要性はより一層高まっていくでしょう。

また、当社の会員はミドル層が多く、彼らが長年培ってきたスキルや経験を生かせる仕事に就けないことは日本の損失だといえます。当社では、引き続きポータブルスキルの活用を現場に根付かせていくことによって、会員の満足度向上はもちろん、その延長線上にある日本の労働市場の課題解決に少しでも貢献していければと思っています。

得本 安彦さん
株式会社リクルートキャリアコンサルティング
スーパーバイザー
外資系企業にて、人事責任者を経験。リクルートで、主に大手企業向けの教育・研修の企画・営業を担当。2004年、キャリアカウンセラーに転じ、2009年より現職。
1級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)、CCA認定スーパーバイザー