私たちの活動 事例紹介・インタビュー

ものづくりから、ひとづくりへ。
ひとりひとりの成長の総和を、会社の成長に繋げていきたい

2017.08.24

 [パーソルR&D企業紹介]

2017年4月1日、設計・研究開発を提供する「日本テクシード」と設計・実験/認証サービスを手掛ける「DRD」が統合し、新会社「パーソルR&D」が誕生。自動車業界が抱える喫緊の課題(安全性や環境への配慮、各国仕様への対応、IoTやAIなど最新テクノロジーの活用など)に対して、高度な設計開発を一貫して手掛ける”フルターンキー”企業としての存在価値を高め、自動車メーカーの心強いパートナーを目指す。

「メンバーの雇用を守りたい!」
難易度の高いプロジェクトに、自ら手を挙げた。

私は元々、DRDの親会社だった、ものづくりのメーカーで開発のトップをやっていたのですが、「関連会社も含め、ひとつの国にひとつの会社にする」という親会社の方針に則り、関連子会社の今後について、親会社の中で検討されることになりました。

 

私が後に社長になったDRDもその検討対象で、経営会議でDRDの今後を検討するプロジェクトが動いていると知り、「プロジェクトの責任者をやらせて欲しい」と自ら手を挙げました。このプロジェクトの成否が、メンバーの人生に大きな影響を与えるものになると思っていましたし、何としても、メンバーを守りたいという強い思いがありました。だからこそ絶対に、何が何でもこのディールを成功させなければと感じ、自ら手を挙げたのです。

大切なメンバー達を守るためには、転籍しかない。
私自身が、強くそう思っていた。

DRDには親会社から、たくさんの出向者がきていましたので、出向していたメンバーは、出向元に戻るのか、DRDに残るのか、大きな決断を強いられた状況でした。

私自身は、大切なメンバー達を守るためには、転籍しかないと思っていました。心から強くそう思っていましたので、彼らを説得するため、メンバーを集めて、何十回もタウンホールミーティング(各地で開催した説明会)を行い、「転籍して欲しい」という話を何度も、何度もしました。これは大変なことでもありましたが、私以上に熱意を持ってメンバーと向き合える人間はいないと思っていましたから、全部自分一人でやりました。

私自身が、腹の底から「転籍したほうがいい」と確信していた思いが伝わったのか、全員がDRDへ転籍し、その後、パーソルグループ入りすることになりました。

自由な空気感のある新しい場所で、
自分達の可能性を広げる新たな1歩を踏み出す。

パーソルグループ入りの決め手は、パーソルグループの、細かいところまで縛らない、現場にある程度裁量権を与えて現場を活性させることを一義としている社風 ― それが凄く魅力的でした。ここなら、結果さえ出せば、自分達のやりたいことを継続してできるだろうと強く感じました。この会社でやっていきたいと、それがDRDにとってベストの選択だと思いました。

私自身はそれが全員の幸せになると確信していましたが、社員と共有するのはやっぱり凄く大変でしたね。パーソルグループは、人材業のイメージが強いですよね。仮にパーソルグループ入りをしても、自分達のやることはこれまでと変わらない。けれども、ものづくりをしてきたという自負のあるエンジニア達が受け止めてくれるのかは、心配でしたね。

結果としては、全員が揃ってパーソル入りができたわけですけれども、何か小細工をしたわけではありません。ただ、私自身が、腹の底から「パーソルグループに入ることが、社員みんなが幸せになる道だ」と信じていましたので、一生懸命「新しい1歩を踏み出そうよ」と訴え続けただけです。もちろん、私もメンバーと一緒に行こうと、最初にプロジェクトを引き受けた時から思っていましたから。多分そういう思いが伝わったのではないでしょうか。

ものづくりから、ひとづくりへ。
人の成長の総和が、会社の成長。

パーソルグループの経営会議などに出るようになって、ものづくりの特性と人材業の特性の違いで、幾つもの発見がありました。

 

ひとつ目は、アンテナの張り方。ものづくりは、内部の強い連携が必要なので、どうしても内向きになりがちです。競合会社や新技術、新製品など、仕事に関する情報には貪欲ですが、世の中のトレンドや政治、学生の志向など仕事に直結しない情報にはあまり敏感とはいえないと思います。一方で、人材業は、非常に「外向き」。今、外で何が起きているかにとても敏感ですよね。でなければ競争に勝てません。外部情報に対するアンテナの張り方がすごい。我々も、もっと外にアンテナを張らないとダメだと感じましたね。

 

ふたつ目は、人を育てるということへの拘り。ものづくりの現場では、ともすると人の育成より、ものづくりを優先してしまいがちです。しかし、パーソルグループの皆さんと接して、人の育成が最優先なのだと肌で感じました。

 

私が尊敬しているあるエンジニアリング会社の元社長から、ある時、「私達は、ひとを作っているんですよ。ものづくりから、ひとづくりに変わって、頑張って下さい。人の成長の総和が、会社の成長なんです」というメールを頂きました。今でも大切に保存していますけど、それを思い出しましたね。本当にそうだよなと思います。改めて「人を育てる」ということに対して、私達も、もっともっと力を入れていかないと、と強く思っています。

「幸運」は、偶然じゃなく、必然。
「運」を引き寄せ、「ツキ」を呼び込む。

DRDが独立する時も、パーソルグループに入る時も、メンバーは私についてきてくれました。私の熱意というのもあるかもしれませんが、私の持っている「ツキ」みたいなものもあるかと思っています。私、けっこう、「運」とか「ツキ」を科学するのが好きで、本もたくさん読みました。その中に、元プロの麻雀打ちの桜井章一さんという方がいて、彼の話が面白いんです。凄く、共感できる、刺さる言葉がいっぱいあるんです。「運がいい」「ツイている」というのは、偶然じゃなくて、理由があるんですよね。例えば、「運は明るいところにくる」とか、「勝負に強いということは、変化に人一倍早く対応できること」だとか。「集中」っていうと、何かに絞る感じですけど、実は「集中とは、自分を中心に球のように360°、神経を張り巡らせている状態」とかね。

私は、「運」は引き寄せられると思っているし、「ツキ」を呼び込むことはできると思うんですよね。だから、意識的に、「運」や「ツキ」を引き寄せられる人間でいたいと思っています。

経営者は、社員を明るく照らす、社員が輝きを増す、太陽であれ。
人間に興味のない人は、経営者になるべきではない。

私自身が経営者として大切にしていることは、「経営者は、会社を照らす明るい太陽のような存在であれ」ということです。人の上に立つ人間は、明るい人がなるべきだと思うんです。そして、出合った当初は全く輝いていなかった人が、良い仕事を通じて、輝くようになれる、そんな太陽みたいな存在になれたら、凄く嬉しいですね。

それともうひとつは、「人間に興味のない人は経営者になるべきでない」ということ。私は基本的に、人が喜ぶ顔を見て自分も幸せを感じるタイプで、メンバーや周囲の人に「喜んで貰いたい」という思いが強いんですよね。数字だけを追いかける経営者の下では、メンバーは幸せになれないと思っています。いつもメンバーのことが頭の中の一番にある経営者でいたいですね。

「何かちょっと違う」という違和感を感じとり、
「何が違うのか」を考え抜く癖をつける。

よく社員に言っているのは、「明るさが大事」ということと、「自分が疑問に思ったことをそのまま残して、前に進まないように」ということ。技術的なこともそうですし、「何でこれをやらなければいけないのか」と思った時に、そのままにするなと。だからと言って、「納得できるまで1歩も動きません」ということではありません。前に1歩進んで、でも納得できるよう、戻ってでも自分の中で腑に落とす。突き詰めてものを考える癖を、是非つけて欲しいです。

似たような話になってしまいますが、先ほどお話しした桜井さんも「違和感を大切に」と言っています。「何かおかしいよね。何か違うよね」と思ったら、「何が違うのか。何がおかしいのか」というところまで辿っていく。私も、瞬間的には分からないのですが、「何かちょっと変だな」と思って、ずっと考えていると、「あぁ、ここの論理が破綻しているんだ」と、その違和感の原因が分かるのです。これは、頭の良し悪しではありません。諦めずに、納得できるまで考え抜く、ある意味「癖」づけですね。考える癖をつけていって、自分の足で立って歩ける人間に育って欲しいと思います。

 

 

 

宮村 幹夫 (ミヤムラ ミキオ )

パーソルR&D株式会社代表取締役社長

[プロフィール]

1977年  日産ディーゼル工業株式会社(現UDトラックス株式会社)入社 

2008年  UDトラックス株式会社 専務取締役 就任

2012年  株式会社DRD(現パーソルR&D株式会社)代表取締役社長 就任

2014年  株式会社日本テクシード(現パーソルR&D株式会社)取締役 就任

2014年  テンプホールディングス株式会社(現パーソルホールディングス株式会社)エンジニアリングセグメント長 就任 (現職)

2015年  同社  執行役員  就任(現職)

2015年  株式会社日本テクシード(現パーソルR&D株式会社)代表取締役社長 就任(現職)

 

●座右の銘 「日々是好日(にちにちこれこうにち)」

●お勧めの一冊 「図解「運に選ばれる」法則76」

更新日時:2017年08月

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